清宮幸太郎と安田尚憲、東西の怪物スラッガーは互いにどう意識するか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 清宮は11月3日の秋季東京都大会決勝戦で、日大三の好左腕・櫻井周斗の前に5打席連続三振に倒れていた。しかし、その後は「コンディションが上がってきていた」と清宮本人も振り返るように、明治神宮大会では徐々に復調。そして履正社戦では、完全復活を印象づけるアーチを架けた。日大三戦では腰砕けの状態から右手一本でスライダーを追いかけるようなスイングをしていたのに、わずかな期間で立て直してきたのは見事としか言いようがなかった。

 清宮のスイングをもっとも間近で見て、その凄さを体感したのは、履正社の正捕手・片山悠だった。

「ウチには安田がいますけど、それを上回る風格とスイングスピードでした。打たれてもいいから、攻めてストライクゾーンで勝負しようと考えていたんです。ホームランを打たれたボールは、外を要求したのが少し中に入ってしまいました。それでも、まさかライトスタンドまで持っていかれるとは......。ホームランを打たれてからは、少し逃げ気味になってしまいました。外のボールには踏み込んでくるし、内を攻めようとしたらデッドボールになってしまう。『攻めづらいな』と感じていました」

 そして、片山は清宮と安田とを比較して「対応力に差がある」とも語っている。

 2人の打撃フォームを真横から見ると、その差は顕著だった。軸足にしっかりと体重を乗せて速球にも緩いボールにも対応できる清宮に対して、安田は軸足に体重が乗り切らず、すぐに投手方向へ体が向かっていく。つまり対応できる幅が狭く、極端に言えば狙い球しか打てない状態だった。安田自身も「軸が前に行ってしまって、打ちにいってしまう」と課題に挙げていた。

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