衝撃の5連続三振。早実・清宮幸太郎に何が起きたのか? (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 中村博之/PICSPORT●写真 photo by Nakamura Hiroyuki/PICSPORT

 そして、やはり津原も清宮に対して「あまり状態がよくないのかな」という印象を持っていた。

「ストライクからボールになるスライダーを空振りするならまだわかるんですけど、ボールからボールになるスライダーまで振っていたので、『見えていないのかな?』と思いました」

 しかし日大三バッテリーにとって誤算だったのは、清宮の後を打つ野村など、想像以上に早実打線に破壊力があったことだ。津原が明かす。

「1番から9番まで気が抜けないというのはわかっていましたが、それでも清宮くんへの意識はどうしても強くありました。それで試合に入っても、上位打線より下位打線によく打たれている印象があったので、櫻井には『6~9番にしっかり投げよう』と言っていました。それでも早実打線はしつこく振ってきて、後半は櫻井にも疲れが出て、甘いボールが増えてきました。最後に野村くんにサヨナラホームランを打たれたボールは、抜けたスライダーがど真ん中に入ってしまいました」

 櫻井は早実打線から14三振を奪ったが、10安打を浴びた。そのうち5安打は6~9番に打たれたものだった。さらに3暴投、1捕逸とバッテリーエラーも多く、津原は「何球も後ろに逸らしてしまって......、練習するしかありません」と口にした。冬の練習の厳しさで知られる日大三だけに、課題克服のために、これから壮絶な日々が待っていることだろう。

 それにしても深刻なのは、これまで公式戦で安定して結果を残してきた清宮の状態だ。清宮は自身の異変について、こんな分析をしている。

4 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る