清宮幸太郎に真っ向勝負。関東一・高橋晴との「全打席」レポート (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 東海大菅生戦の6日後、10月29日に行なわれた秋季東京都大会準々決勝。関東一対早稲田実の一戦は、来春のセンバツ出場をかけた大きなヤマ場になると見られていた。早実の和泉実監督も「カンイチ(関東一)は東京で最も安定して強いチームなので、挑戦者として戦いました」と語っている。

 関東一はオコエ瑠偉(楽天)を擁した2015年夏から3季連続で甲子園に出場している。オコエが卒業した後も、東京都内の大会はすべて優勝。決して圧倒的な勝ち方を見せるわけではないのだが、9回を終えた時点で1点でもリードしている──。そんな不気味な試合巧者ぶりが際立っていた。新チームの前評判も高く、エース・高橋だけでなく、強肩強打の1年生捕手・石橋康太など個々の能力は旧チームより上と言われた。

 しかし、米澤監督はこんな不満を漏らしていた。

「(旧チームの)3年生たちは考える力がありました。でも、今の代にはそれがない。そこが差ですね。勝ち上がりながら、力をつけていければいいなと」

 この日、いつものように「3番・一塁」に入っていた清宮は、高橋対策についてこう明かしている。

「東海大菅生戦でフライアウトが多かったと聞いていたので、『高めの見極めをしっかりしよう』と話していました」

 東海大菅生戦で高橋が奪ったアウト27のうち、フライによるアウトは15もあった。速球に打者のバットが差し込まれ、凡フライになるケースが目立っていた。高橋も「新チームになってからフライアウトが増えました」と語っている。

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