「ドラフト会場に入るまで迷う」田中正義と高校ビッグ4の評価 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 Bスカウトも、大学球界もうひとりの即戦力右腕・柳の評価を交え、このように話す。

「簡単に言うと、田中は来年でも力を出し切れば15勝5敗ぐらいの成績を残す可能性がある投手。対して柳は、安定感があり、1年目に10勝を挙げる力はある。でも2年目以降に1年目の成績以上のものを残せるのかどうか。佐々木にしても、好投手ですけど将来、大エースになる可能性があるのかといえば、そこまでは言い切れない。そのあたりをどう見るかでしょうね」

 柳は10月15日の早大戦で12回を投げ、3安打、1失点、20奪三振の快投を演じた。秋のリーグ戦はここまで(10月19日現在)防御率0.98と抜群の安定感を見せている。現時点の評価からしても、柳の指名球団が増える可能性は十分にあるだろう。

 社会人の1位候補・山岡泰輔(東京ガス)に関しては、172センチの身長やスケール感の小ささを指摘する声もあるが、まぎれもない実戦派。クライマックスシリーズ(CS)を目前に控えたDeNAとの練習試合では打ち込まれたが、Bスカウトは次のように山岡を評価する。

「CSに出る相手にケガでもさせたら大変なことになる。インコースの厳しい攻めが一切できないなかで、あの日の投球は度外視していい。私の見る限り、力的にはプロでも十分に計算が立ちます」

 来季に向けて、投手の補強が急務の球団は、"将来のエース候補"より、1年目から確実に戦力となってくれる実戦派を狙ってくる可能性は高い。

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