ドラフトの超目玉、創価大・田中正義の右肩は本当に大丈夫か? (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 とにかくタイミングが取りづらい。田中を正面から見ている捕手がこれだけ遅れるのだから、1キロ近いバットを持っている打者が間に合うわけがない。

「今日はまあまあですけど、でもね、全然こんなもんじゃないですよ」

 右肩を痛めてほとんどピッチングができないまま創価高から創価大に進んだ田中を、4年間手塩にかけて育ててきた佐藤康弘コーチが言う。

「2年生の6月の大学選手権のとき、それと昨年の冬のボールもすごかったですよ。キャッチャーのうしろからネット越しに見ていても『うわっ!』と顔を背けるようなものすごいストレートでしたから」

 佐藤コーチは、社会人野球のプリンスホテルでエースとして投げ、1992年のバルセロナ五輪にも日本代表として戦った経歴を持つ。これまで八木智哉(中日)や小川泰弘(ヤクルト)をはじめ、何人もの投手を育ててきた。

「たしかに、今の(田中)正義もすごいですよ。肩がどうこう言っても、今まで見たことないようなすごいピッチャーです。でも、私が感じている正義の本当のすごさというのは、3年後、5年後のすごさ。"近未来の正義のすごさ"が想像できないという、そういうすごさなんですよ」

 10月15日、創価大はリーグ優勝をかけて流通経済大との一戦に臨み、田中は9回を投げ5安打、3失点、8奪三振で勝利を挙げた。最速153キロをマークし、6回以降は無安打に抑えるなど、上々のピッチングを披露。

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