ドラフト下位指名で、スカウトたちが秘かに狙う「7人の隠し玉」 (4ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Jiji Photo Press

 なにより狩野の魅力は、その声だ。いつもショートから爆声で投手を励まし、外野手には適切な指示で緊張感を与える。

 大学2年の春に1試合3本塁打、9打点の活躍。外のストレートを下半身でガツンと受け止め、ライナーでライトフェンスへ運ぶセンスのよさ。身体能力の高さは間違いないが、それに頼りすぎないところもいい。

 守備に関しても、捕球の瞬間まで目がついていくし、鮮やかなスナップスローを見ても、この選手はかなりのセンスの持ち主と見る。

 バッティングなら、松本桃太郎(仙台大/三塁手/右投左打)だ。スイングスピード、強烈なインパクト、どのコースにも自在にスイングできるバットコントロール。そしてなにより素晴らしいのがタイミングの取り方。右足を自然に浮かせながら、独自の感覚でボールを呼び込む技術の高さ。

 10月3日に仙台六大学リーグの通算安打記録「115」をクリアして、さらに伸ばし続けているが、バッティングの資質については、今シーズン後半、ルーキーながら打線の中軸に定着してオリックスの吉田正尚に匹敵すると見ている。

 打力が突き抜けているからあまり語られないが、フィールディングも堅実だ。華やかさはなくとも、なかなかエラーしない間違いのなさ。長いシーズンでホットコーナーを守る三塁手の資格として、絶対条件だろう。

 そして高校生なら、根本薫(霞ヶ浦高/外野手/左投左打)の潜在能力に期待したい。この夏までは俊足、強肩を生かし、広い守備範囲が光る外野手だった。正面に飛んだゴロのヒットへのチャージのスピード、さらに捕球から送球の敏捷性と精度の高さ。本塁突入を阻止した場面も何度か見た。

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