ドラフト下位指名で、スカウトたちが秘かに狙う「7人の隠し玉」 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • photo by Jiji Photo Press

"速い系"のコンビネーションで打者をガンガン追い込んでいけるピッチングスタイルは、若々しく勇ましい。

 上背がなくても、低めのストレートの回転が素晴らしく、打者からすると高低がわかりづらい。変化球の次元も高いが、プロではこの低めの快速球が使えるだろう。

 例年、サウスポーの値打ちは高くなる一方だが、今年は右の本格派が多いだけにその価値はさらに高くなる。その左腕で注目を集めているのが笠原祥太郎(新潟医療福祉大)だが、愛知大学リーグの2部にも楽しみな逸材がいる。名古屋経済大の中尾輝(左投左打)だ。すでに一部報道で話題になったが、杜若高時代から昨年まで、ほとんど実績といえるほどの結果は残しておらず、ほぼ無名の存在だった。それが今年になって急スピードで成長を続けている。

 以前は立ち上がりや5~6回の苦しい時期に踏ん張りきれないところがあったが、冬の間にしっかり体力アップに努めてきたのだろう。どっしりと投げられるメカニズムを備え、立ち上がりのコントロールも安定し、スタミナも急激にアップ。

 もともと、クロスファイヤーのストレートとスライダーには光るものがあった。そこに球速もコンスタントに140キロ前半をマークするまでレベルアップさせてきた。

 そうはいっても、本気の野球を始めたのはこの1年と言っていい。それがホントのところだろう。本物の体力を養い、高いレベルの実戦に慣れてくれば、まだまだ伸びる素材であることは間違いない。

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