大島と八丈島。「離島の連合チーム」が秋の都大会に勝ち進んだ意義 (4ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 翌日の一次予選初戦。大島・八丈の連合チームは葛西南を7対0の8回コールドで下した。続く試合は翌週の9月18日。その前日に彼らは東大和高校のグラウンドで2度目の合同練習をこなし、夜には再び一発ギャグ対決を開催する。このときも、再び八丈が勝利を収めたという。

 勝てば本大会出場が決まる獨協戦では5回まで0対5と劣勢を強いられたが、4対5と1点差に迫ると、8回裏に7得点を奪って逆転勝利を収めた。合同練習わずか2回の即席連合チームが、64校が進む秋の東京都本大会に進出したのだった。

 しかし、練習をともにしたのは2回だけでも、彼らはスマートフォンアプリ・LINEを駆使してコミュニケーションを重ねていた。

「試合で使うのは大島高校のサインなので、それを教えてもらったりしました」(西濱)

「連絡先を交換して話したりして、仲良くなりました」(柳瀬) 

「LINEでやりとりしている選手から、八丈の選手のことを教えてもらっていました。非常に模範的なLINEの使い方だったと思います(笑)」(赤澤監督)

 そして10月9日、大島・八丈連合は東京都本大会初戦を迎えた。相手は日本ウェルネス。歴史は浅いながらも、今夏はシード校となり今春に続いてベスト16入りを果たしている新興勢力だ。

 大島・八丈連合は部員が10名しかいないにもかかわらず、正捕手の諸田啓人(大島高校1年)が肩痛のため出場できない状態。実質9名で戦うしかなかった。序盤から小刻みに点を失う苦しい展開となり、中盤以降は1年生エース・前田光春(大島高校)が力尽き、0対7でコールド負けを喫した。

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