「ヒグマの親分」に導かれた甲子園。
クラーク国際が踏み出した一歩

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 生活習慣の中には、勉強も含まれる。授業は1日4コマのみだが、授業とは別に、生徒には毎月、報告課題の提出が義務づけられている。10教科あり、内容は「各教科1時間程度で終わります」(背番号13の山下智也)というものだが、これを提出しないと定期考査を受けられない。そのため、部員たちはわからないところをお互い教え合うなどして必死に取り組む。期限内に終わらせるために、遠征に行く際のバス移動の時間などを利用するなど、時間の使い方も工夫するようになった。

 室内練習場が完成した効果は言うまでもない。冬場もトレーニングや振り込みなどができるだけでなく、空き時間に自主練習もできるようになった。

 もうひとつの転機は、今年2月、3月と二度にわたって行なった道外遠征。2月は栃木・青藍泰斗のグラウンドを借りて北海道ではできない総合練習。3月には岡山から兵庫、愛知、茨城、栃木と北上しながら練習試合を行なった。

「それまで勝てなかったのは当たり前だよね。生徒たちに自信がないから。先輩がいないから『あの先輩でもできた』という尺度もない。自信を持って打席に入れないんだよ。負けると自信をなくすから、あまり強いチームとは試合を組まなかった(笑)。この遠征でなんとか勝つパターンができた。空知を突破できる自信をつけて帰った」

 内野手から投手に転向した平沢津虎輝(ひらさわつ・とらき)、前捕手の退部により急遽捕手となった岸誠也らが経験を積み、手応えをつかんだ。

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