対戦相手たちが見た「BIG3」。彼らの凄みとは何なのか? (4ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 そして大会4日目の8月10日には、BIG3の最後の男・高橋昂也(花咲徳栄・埼玉)が登場した。高橋が甲子園マウンドに立つのは、2年夏、3年春に続いて3度目になる。だが、春のセンバツでは制球重視の投球で130キロ前後しかスピードが出ず、春以降は故障のため登板すらままならない時期もあった。夏の大会を前に、高橋の名前はドラフト戦線から消えかけていた。

自身3度目の甲子園となる花咲徳栄の高橋昂也自身3度目の甲子園となる花咲徳栄の高橋昂也 しかし、3年最後の夏の大会で高橋は大きく巻き返しを見せる。埼玉大会では最速152キロをマークし、37イニングを投げて無失点。被安打はわずか11、奪三振は52を数え、「ドラフト1位候補」と報じるメディアもあった。

 迎え撃つのは秋田代表の大曲工。しかし、大曲工の秋田大会でのチーム打率は.197、チーム本塁打は0に終わっている。高橋が快投を見せつける展開も予想されたが、いざ試合が始まると大曲工打線は高橋のボールを次々に捉えていった。最初に打席に入った2年生の1番打者・高橋航平はこんな印象を語っている。

「角度があって、上からボールが伸びてくるようでした。打席に入ったら、投球練習よりもボールが本当に速くて、キレがすごかった。浮いてくるようなボールなので、高めのボール球に手を出してしまいました。でも、決して『お手上げ』というボールではなかったので、チームとして『打つべき球はストレート』と決めて、なるべく変化球には手を出さないようにしました」

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