対戦相手たちが見た「BIG3」。彼らの凄みとは何なのか? (3ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 杉沢はあえなく三振。それをネクストバッターズサークルで見ていたのは、2番の笹沼匠だった。

「杉沢はバットコントロールがうまい選手で、いつも先頭バッターとして塁に出てくれていたので、『杉沢でも当たらないのか......』と思いました」

 実は、笹沼は中学時代に友部シニア(茨城)に所属し、3年夏の関東大会で千葉市シニア(千葉)の藤平と対戦したことがあった。

「中学時代とは比べものにならないくらい体が大きくなっていて、球も10キロくらいアップしていました。何より、マウンドからオーラを感じました。『絶対に打たれない』という圧を発していました」

 藤平は初回の先頭打者から5者連続奪三振をマーク。7回に2アウトを取ったところでお役御免となり、ダブルエースの片翼である石川達也とスイッチした。6回2/3を投げて、被安打6、奪三振13、失点1という投球成績だった。

 東北の4番打者・植木利久(2年)は藤平の前に2打席連続三振を喫した後、レフトにヒットを放っている。だが、その内容は決して満足のいくものではなかったという。

「中盤からところどころ(力を)抜いていたと思うので、それで抑えられるのはイヤだったので......。ピッチングマシンで速い球に目慣らしはしていたのですが、マシンでは藤平さんのホップする球筋までは再現できませんでした。高めも低めもホップしてくる感じ。こんなに当たらなかったのは初めてです」

 この試合後、甲子園球場に衝撃が走った。組み合わせ抽選の結果、横浜と履正社が2回戦で対戦することになったのだ。いまだ底を見せていない2人がどんな投げ合いを見せるのか。8月14日、日曜日に予定されている2回戦は、間違いなく超満員になるだろう。

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