夏の甲子園は藤平、寺島、高橋昂の「ビッグ3」以外も好投手だらけ (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 二番手の左腕・山口裕次郎も24イニングで32奪三振。こちらは1試合平均与四死球が1.5個と制球力抜群。強力左腕二枚看板で失点を計算して戦えるのは強みだ。チーム打率・404の打線が大阪大会同様に火を噴くか。例年、手堅い野球をする岡田龍生監督だが、強打のチームでどのような采配をふるうのか。

 花咲徳栄はセンバツで不振だったエース左腕・高橋がこの夏大ブレイク。常時140キロ台中盤~後半をマークするストレートは球威抜群で打者を圧倒する。この強いストレートに加え、スライダー、フォークで面白いように空振りさせ、37イニングで52三振を奪った。埼玉大会では5回戦で6回参考完全試合、準々決勝でも6回を無安打投球するなど安打すら容易に許さず、6試合で被安打はわずか11。与四死球も2つだけで、1イニングにどれだけ走者を出すかを表すWHIPは驚異の0.35。走者を出すことすら困難なレベルだった。

 打線もプロ注目の岡崎大輔、打率.600の楠本晃希といった昨夏の甲子園8強を経験した打者が引っ張る。埼玉大会では高橋に頼っただけに、頂点を狙うにはどれだけエースのスタミナを温存しながら戦えるか。岩井隆監督の投手起用がカギを握る。

 この3校と同等の力を持つのがセンバツ4強の秀岳館(熊本)。目立った投手こそいないが、田浦文丸、川端健斗、中井雄亮の3左腕、エースナンバーをつける有村大誠、センバツで登板した堀江航平と5人すべてがいずれも140キロ近い速球を持つ。鍛治舎巧監督は投手に投球制限のある中学野球・枚方ボーイズで指揮を執っていたため、投手交代に躊躇がない。

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