この夏は履正社・寺島成輝「必殺・空振りストレート」に注目 (3ページ目)

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 くわえて、軸足の使い方も変えた。それまでは一塁側に折れながら打者方向へ体重を移し、右足は円を描くように遠回りしたのちに踏み出されていた。そうなることで、下半身から上体にかけての動きも横回転気味になり、きれいなタテ回転のスピンがかかったストレートが安定して投げられなかった

 そこで軸足のヒザをそのまま打者方向に押し込むように倒し、右足も投球方向へ真っすぐ踏み出すようにした。これにより、体全体がタテ回転の動きとなり、体の開きも抑えられ、球質も劇的によくなった。

「去年までとかなり変わりました。ボールが指にしっかりかかるようになって、投げていても回転数が多くなったなと感じます

 今年2月ぐらいから、たびたびストレートへの手応えを口にするようになった。ただ、春に何試合か見たが、その時点ではまだ本人の手応えほどの変化は感じられなかった。今から約2カ月前に行なわれた近畿大会初戦の有田中央戦もそうだった。試合は5回コールドで決し、寺島は4安打、5奪三振、無失点と数字を見ればまずまずの内容だが、やはりファウルで粘られるシーンが目立った。球数も5回で80球を超えていた。

 ところが、この試合の1週間後に行なわれた智弁学園との近畿大会決勝戦は、本人が今も「これまでで一番」と話すピッチングを見せたのだ。

 リリーフで4イニングを投げ、1安打、4奪三振、無失点。1週間前の投球を見ていただけに、この結果には驚いた。

 そしてこの夏、寺島のピッチングの変化が本物だったことは、はっきりと証明された。

3 / 5

厳選ピックアップ

このページのトップに戻る