細山田武史の笑顔。元プロたちが晴れの「都市対抗」で味わう充実感 (3ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

「東京ドームという球場については特別な感じはないんですけど、これだけプロとまったく違う応援なので。これは都市対抗独特のものだと思います」

  そう語ったのは、今年から新日鐵住金かずさマジック(君津市)にコーチ兼任選手として復帰したサブマリン・渡辺俊介だ。渡辺はロッテで通算87勝を挙げた後に海を渡り、独立リーグなどでプレー。WBCで日本代表の一員として世界一の栄冠をつかんだ男が、「都市対抗の優勝を経験したい」と社会人球界に戻って きた。

 初めて都市対抗を観戦した人が最初に受ける印象は、まず間違いなく応援についてだろう。東京ドームの一塁側、三塁側にそれぞれ応援団用の特設の台が備え付けられ、そこで団員やチアリーダーが演舞し、ドラムセットを持ち込んだブラスバンドの演奏やマイクリーダーによる掛け声がドーム内にこだまする。試合の合間に郷土芸能を披露したり、時には攻撃チームのみならず守備チームも応援するため、相当なカオス状態になる。プロ野球の応援合戦を騒々しいと感じる野球ファンなら眉をしかめるかもしれないが、この応援合戦もまた都市対抗という空間に欠かせない存在になっている。

 6月 に行なわれた都市対抗南関東二次予選、渡辺は大車輪の活躍を見せた。若手投手が打ち込まれた後を引き継いで、ロングリリーフとして2試合で計10イニングを投げ、いずれも勝利投手になっている。試合後には、「彼らをドームで投げさせてやりたかった」という粋なコメントを残した。

3 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る