細山田武史の笑顔。元プロたちが晴れの「都市対抗」で味わう充実感 (2ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 佐竹は七十七銀行から13三振を奪い、完封勝利を飾った。一方、細山田は3打数0安打2三振とバットでは結果を残せなかったが、試合序盤に盗塁を刺すなど守備で勝利に貢献した。

  トヨタ自動車への入社が決まってから、細山田は所属している全投手の映像を細かくチェックしたという。同僚たちが細山田の努力を認めるなか、本人は「当た り前といえば当たり前のことですけどね」と笑う。周囲に壁をつくらず場を和ませる人柄は、今やすっかりチームに欠かせなくなっている。

 細山田に失礼を承知で「『元プロ野球選手』という肩書きが邪魔になることはないでしょうか?」と聞いてみた。すると細山田は「ないですね」と即答して、こう続けた。

「野球人としてのプライドはありますけど、元プロだからとか、そういうこだわりはありません。僕は育成選手も経験していますしね。プロだろうが社会人だろうが、やることは一緒。精いっぱいやるだけですよ」

 現在の背番号「36」はベイスターズ時代につけていたもの。だが、その番号を選んだのは「空いていたから」という単純な理由だった。

「みんなわかりやすいし、いいかなと思って。今日はベイスターズ時代のファンの方も結構来てくれたみたいで、ありがたかったですね」

 そう言って、細山田は東京ドームを後にした。今大会は細山田に限らず、多くの「元プロ野球選手」が社会人野球選手として都市対抗に出場している。

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