清宮だけじゃない。早実・金子銀佑の「超高校級守備」を見逃すな (4ページ目)

  • 菊地高弘●文・写真 text&photo by Kikuchi Takahiro

 一度はタイムを取って水分補給をし、プレーに戻ったものの、3アウトチェンジとなってベンチに戻る金子は、明らかに足を引きずっていた。足をつっ たか、最悪の場合は肉離れか......。しばらく治療時間が設けられたが、金子はそのままグラウンドに戻ってくることはなかった。和泉実監督は代役として3年生 内野手の中岡凛太郎をショートに送った。

 ちょうどこのアクシデントが起きた7回裏、早実は好投していた先発投手・吉村優の打順で代打を 送っており、8回表から服部がマウンドに上がることになっていた。明大明治戦でピンチを救ってくれた金子はもういない。服部のボールもやはり、本来の力と は言い難いものだった。たったひとりの選手がいないだけで、ヒットゾーンがこれほどまでに広く見えるのかと思えた。

 それでも、早実は残り 2イニングを踏ん張った。9回には無死一、二塁と国士舘打線に攻め立てられたが、強い二塁ゴロを2年生二塁手の橘内俊治がさばき、代役遊撃手・中岡と流れ るようなダブルプレーを完成させた。最後は一塁ゴロを清宮が弾きながらも、落ち着いて処理してゲームセット。早実の西東京ベスト8進出が決定した。

 試合後、清宮はこう語っている。

「このチームは金子さん主体で回っているけど、いつもチームのみんなでカバーし合おうと話していました。今日は金子さんがケガでいなくなっても、ゼロで抑えられた。チームのカバー力は上がっていると思います。

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