離島同士の初戦。八重商に阻まれた八重高の甲子園への挑戦は続く (5ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

 八重高のグラウンドには、かつて甲子園の土が埋められていた。しかし、数年前に行なわれたグラウンドの改修工事で、その土はどこかに紛れてしまったのだという。

 近くて遠い、甲子園――。

 甲子園へあと一歩まで近づいた八重高の悲願は、今年も叶うことはなかった。

 そして、八重商は2回戦で第1シードの糸満と戦う。糸満を率いるのは、この春から赴任した真玉橋治監督。彼は八重高の監督を経て、去年まで八重商の部長を務めていたという、これまた、なんたる運命のイタズラか。伊志嶺監督は次を見据えてこう言った。

「もうちょっと夏は続くかな。でも、次、糸満だからね。糸満は今日の試合を全員で観ていたらしいから、真玉橋監督に『お前、どこまでウチを裸にするの』って言ってやった(笑)。彼も僕らのことを全部知っているし、ウチは糸満のこと、まったく知らないから、8対2ぐらいで不利なのかな。だけど、高校生はやってみなければわからないからね」

 一行の結果の裏に隠された、4000を越える夏の物語……そのうちのひとつを綴ってみた。

 八重商の夏はまだ続いている。そして、八重高の夏は早くも終わりを告げた――。


(おわり)

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