離島同士の初戦。八重商に阻まれた八重高の甲子園への挑戦は続く (2ページ目)

  • 石田雄太●文 text by Ishida Yuta
  • スポルティーバ●写真 photo by Sportiva

 6回表、八重商の攻撃。

 八重高のエース、仲山はこの回も緩急をうまく使って相手のバットの芯を外し、簡単にツーアウトを取った。ところが1番の平良桐哉、2番の大濱を続けて歩かせてしまう。

 打席に迎えたのは、3番の平良海馬。

 彼は2年生ながら、投げれば140キロのボールを投げ、打てばとんでもない飛距離を誇る"怪物"候補だった。キャッチャーの前粟藏と同じ石垣中の出身で、八重山ポニーズでの後輩でもある。前粟藏がこう話していた。

「海馬は中学時代から本当に化け物みたいな選手で、自分たちの時代からバンバン打っていました。高校に入ってからも、1年から試合に出てホームランを打ったり、ピッチャーとしてもすごかったり、ウチに来てくれると聞いて、これは絶対に戦力アップすると思って嬉しくなりました。先輩として、すごくいい後輩を持ったなと思います(笑)」

 ツーアウト1、2塁で、バッターボックスにはその平良海馬。仲山はここまで被安打わずかに1本だったこともあり、2つのフォアボールだけでは交代までは考えられなかった。仲里監督はこう言っていた。

「逆に、デキが良すぎたために代えられなかったですね。3、4回までに1点でも取られていれば、もっと早めの継投になっていたと思うんですけど......今日は僕が必要以上に仲山を信用しすぎました。本当だったら、ツーアウトからフォアボールを出したところで代えてもよかったんだろうけど......でも、ウチは2番手、3番手のピッチャーが野手なものですから(サードの黒島投真、ライトの新里光平)、試合に出ながら準備させるのもなかなか難しくて、あの場面はうまく継投できませんでした」

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