地方大にもいる今秋ドラフト候補の逸材たち。大学野球選手権が開幕

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 高良一輝(九州産業大4年)も実績、実力ともに十分な右腕だ。身長は177センチと決して大柄ではないが、リリースポイントが高く、ボールに角度がある。この投手の長所は、低めのボールが垂れずにストライクゾーンに力強く収まること。昨年の大学選手権ではこのストレートと低めのスライダー、スプリットが冴え渡り、仙台大から16奪三振をマーク。熊原健人(DeNA)に投げ勝っている。独特なリズムのモーションだが、制球力も優れており、上のレベルでも個性を発揮しそうだ。九州産業大の初戦は大会2日目(東京ドーム)、日本体育大との好カードになる。

 地味ながら実力派として注目したい右腕は、鈴木佳佑(奈良学園大4年)。履正社高時代は控え選手で目立つ存在ではなかったが、大学進学後に大きく開花。常時140キロ台前半のストレートを両コーナーに丹念に投げ分け、スローカーブやフォークなどの緩急も使える。近畿学生リーグではもはや無敵の状態のため、大学選手権という大舞台で全国区に躍り出たいところ。奈良学園大の初戦は大会2日目(神宮球場)の中京大戦だ。

 完成度の高さで目を引くのは高橋拓巳(桐蔭横浜大4年)。2学年下の高橋光成(西武)とは保育園から小学校、中学校、高校まで一緒という幼なじみ。圧倒するようなボールはないものの、常時140キロ前後のストレートと変化球をうまくコントロールし、破綻のない投球をする。当然、プロスカウトも注目しているが、本人は「プロに行くのが目標ではなく、活躍できる力がなければ社会人に行きたい」と語っており、今大会の出来が進路を大きく左右しそうだ。

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