ドラフト戦線異状あり。田中正義の右肩不安でスカウトたちが大混乱 (4ページ目)

　そういうピッチングができる今永や原樹理（東洋大→ヤクルト）が奮闘している事実は、柳にとって追い風になるはずだ。ただし、前出のスカウトは言う。

「即戦力といっても、大学時代の力がそのまま通用するほどプロは甘くないですよ。大学生や社会人にも“伸びしろ”がないと苦しい。実際、今年の新人で苦労している選手が何人もいるでしょ」

　巨人の桜井俊貴、ロッテの関谷亮太、日本ハムの上原健太の名前が挙がった。

「それなら、立正大の投手・黒木優太とか、日大の遊撃手・京田陽太とか。社会人ならパナソニックの投手・北出浩喜あたりが面白い。身体能力と動くスピード。日本ハムで加藤貴之が頑張っているでしょ。そうなると、同じタイプの大阪ガスの投手・土井星也の評価が急に上がったりしますからね」

　ドラフト戦線も、ペナントレースの様相が大きく影響するという。

　この春の県大会を見て、横浜高の藤平尚真のスケールアップに目を見張った。立ち上がりから140キロ後半をガンガン続け、打席に立てば猛烈なスイングスピードで背中を叩かんばかりの豪快なスイング。ひと冬越えた高校生の変身ぶりには驚かされるものがある。

　昨年でいえば、あのオコエ瑠偉がそうだった。

　今年の高校生を見渡すと、履正社の大型左腕・寺島成輝に敦賀気比の本格派右腕・山崎颯一郎、投打でセンスを光らす東邦の藤嶋健人。すでに全国区の知名度がある高校生に加え、この春、東海大市原望洋の島孝明が150キロをマークして注目を集めた。