東大野球部、悲願の勝ち点1はこの春に実現するのか? (2ページ目)

  • 元永知宏●取材・文 text by Tomohiro Motonaga
  • photo by Jiji photo

 翌週の明治大学戦との第1戦では、前回とうってかわって粘りのピッチングを見せる。8安打を許しながら、わずか1失点。力強いストレートと、スライダーとシンカーを駆使して強打者たちを抑えきった。

 早大の高橋広監督は「あんなによかったら打てません」。明大の善波達也監督が「今季はもうやりたくない」と言うほどの投球だった。

 しかし、それでも東大は勝てなかった。早大との第2戦を含めた3試合27イニングで、1点も取れなかったからだ。早大との2試合で放ったヒットは15本。盗塁をしても、スクイズをしてもホームベースは遠かった。ヒットを何本打っても得点できなければ野球は勝てない。宮台がいくらいい投手であっても、ずっと0点に抑えることは至難の業だ。早大戦も明大戦も9回、最後の最後で力尽きた。

 東大打線が今季初めてホームベースを踏んだのは、明大との第2戦の初回。プロ注目の星知弥から2点を奪った。このときのベンチの盛り上がりは、ネット裏の観客席まで選手たちの興奮が伝わってきたほどすごかった。それはそうだろう。28イニング目にやっと奪った得点なのだ。

 東大は先発した柴田叡宙が踏ん張り、2点リードのまま5回が終了。明大の選手たちに焦りの色が見え始める。だが東大打線もまた沈黙タイムに入り、6回表には柴田が打たれ、2失点。今シーズン唯一築いたリードを吐き出してしまった。

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