近づく夏。逸材の宝庫・横浜高に「激戦の神奈川」を勝ち抜く強さはあるか (2ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 4月23日に行なわれた春季神奈川県大会・準々決勝は、早朝から小雨が降っていたにもかかわらず、多くの観衆がサーティーフォー保土ヶ谷球場に集まってきた。第1試合に横浜対東海大相模という黄金カードが組まれていたからだ。

 横浜と東海大相模は昨夏の神奈川大会決勝で対戦し、東海大相模が9対0で圧勝。勢いそのままに全国制覇を成し遂げた。だが、昨秋の神奈川県大会で再戦すると、今度は夏の経験者が多く残っていた横浜が10対1(8回コールド)と雪辱している。

 昨秋に大勝しているとはいえ、相手は東海大相模。横浜の平田徹監督は「秋のコールドは紙一重というか、ひとつのきっかけのなかでのことなので(6回終了時までは2対1と接戦だった)。参考にしてはいけないと思っています」と言った。

 32歳の若さで甲子園通算51勝の名将・渡辺元智氏の後継者となり、「勝って当然」と言われるほど有望な選手たちを預かる。平田監督にとっても、今は孤独やプレッシャーともがき苦しむ日々に違いない。しかも、今春の大会前に中心選手の増田が右手首の疲労骨折で離脱するというアクシデントもあった。

 東海大相模との一戦を前に、平田監督は選手たちにこう声を掛けたという。

「楽な展開はない。厳しい展開になるよ」

 横浜・藤平、東海大相模・山田啓太の両先発で始まった試合は、いきなり横浜の4番・村田の一発で幕を開けた。185センチの大型左打者がレフトスタンドに放り込んだ2ランホームランはインパクト絶大だった。

2 / 5

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る