引退する西郷泰之の25年「プロに行けなかったからこそ今がある」 (3ページ目)

  • 中里浩章●文 text by Nakasato Hiroaki
  • 甲斐啓二郎●写真 photo by Kai Keijiro

―― そうやって多くのものを吸収することが大事なんですね。

「そうですね。日本代表などでもいろいろな方のお話を聞きましたが、人の意見ってたくさん聞いたほうがいいと思う。それと、何事も少しやったくらいでは分からないと思うんです。たとえば『この練習をやってみろ』と言われて、2~3週間やって『うまくいかないです』って、そりゃあそうだろうと(笑)。まずは何度も続けてやってみる。だからこそ、『ちょっとこうしてみたらうまくいくな』って気付いたり、ひとつのアドバイスを受けたときに『これはいいな』と感じられたりする。成長するためにはある程度、継続的にやらなければダメだと思います」

―― ただ、そうやっていろいろな意見を聞いていくと、変化することで悪くなってしまう可能性もありますよね。そこに怖さはなかったのですか。

「僕の場合はいつでも戻れる場所、フラットになれる場所を作っているんですよね。だから、新しいことをやってみてダメなときは、まずフラットな状態に戻す。道に迷ったときに自分の戻れる場所がないと、ボロボロになってしまう。でも自分の基本の形がしっかりあれば、反省をしながらまた新しいことに取り組んでいけますから。その基本が作られてきたのが、28~30歳くらいの時期。それ以前は何となく打てていたので感覚に頼ってしまっていたのが、少しずつ経験を積んでいろいろなことも分かってきて、頭と体がマッチするようになってきたんです」

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