桑田・清原も愛した伝説の「PLチャーハン」を知っているか?

  • 谷上史朗●文 text by Tanigami Shiro
  • 牛島寿人●写真 photo by Ushijima Hisato

 チャーハンを作るタイミングだが、夕食時に上級生がオーダーする時もあれば、夜食として夜11時に作る時もあった。また、"早弁"用に朝の5時に起きて、10数人分のチャーハンをタッパーに詰める下級生もいたという。

「学年の中に、必ずチャーハンを作るのがうまいヤツがおるんです。そうなると、付き人じゃなくてもその子が他の先輩の分も作るようになる。気がつけば、ずっと鍋を振っているヤツがいました」

 そう笑った大西氏だが、こんなエピソードを教えてくれた。

「当時、実家に帰省した際、『オレも料理ができるようになったんや』と両親に"PLチャーハン"を作ったんですが、『なんやこの味?』って感じで、反応は悪かったですね。寮生活では上級生しか食べられない贅沢品で、僕らはめちゃくちゃ美味しいと思っていたのに......。『オレらはグラウンドと寮以外、何も知らんねんなぁ』って思いました」

 情報をシャットアウトされた環境がPLの強さを作り、伝説のメニューを生んだとも言える。

 大西氏に作ってもらった"PLチャーハン"をいただくと、香ばしい匂いが食欲をそそり、味もなかなかのもの。お腹を空かせた高校球児にとっては、十分満足な一品だったことだろう。

「寮は普通のガスコンロだったので、火力が弱いんです。でも、マヨネーズがごはんをコーティングして、パラっと仕上がるんです。結構美味しいと思います」

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