横浜高、夏王者の東海大相模に雪辱。受け継がれた「伝統の守備力」 (3ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 甲子園通算51勝の渡辺前監督の後を受けた平田監督は、8月は投手陣には徹底した走り込みを課し、野手陣には長い時間、ノックを打ち続けた。

「渡辺監督時代から大きく変革したようなことはありません。月並みですが、バッテリーを中心とした守りの野球。それをキャッチフレーズにやってきました」

 渡辺前監督は、現在もたびたび練習には顔を出し、球種が判明しやすい藤平の癖を指摘し、「フォークの握りでボールを持って、グラブの中で握りを変えなさい」とアドバイスしたという。

 もちろん東海大相模戦も会場の保土ヶ谷球場を訪れ、試合後は雪辱を果たしてくれた生徒を称えていた。

「ナイスゲームじゃないですか。私がいなくなった途端に強くなった(笑)。全国制覇したあとの秋季大会は難しいものです。(東海大相模は選手のほとんどが)代わっているでしょ? うちの場合は、この夏のメンバーが新チームにも残っていましたから」 

 東海大相模は内野陣に4つのエラーが出るなど、「攻撃的な守備」を標榜する門馬敬治監督にとっては、想定外のミスが続いた。一方の横浜はノーエラーだ。渡辺前監督は2−0で迎えた6回裏、一死満塁から犠牲フライを打たれたあと、中継に入った1塁手の公家が、セカンドランナーを3塁でアウトにしたプレーを評価していた。

「どうしても野手はホームに気持ちが集中してしまうし、焦るとボールがそれてしまうことが多いんですが、しっかり3塁手がタッチしやすいところに投げて、アウトにした。大きかった」

 夏の過ごし方が、この試合に限っては両校の明暗を分けた。新生・横浜高がライバルに雪辱を果たし、選抜出場に一歩、近づいた。

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