横浜高、夏王者の東海大相模に雪辱。受け継がれた「伝統の守備力」 (2ページ目)

  • 柳川悠二●文 text by Yanagawa Yuji
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 全国制覇の立役者である小笠原慎之介、吉田凌という先輩ふたりの影に隠れていたとはいえ、北村も日本一メンバーで甲子園でもわずかなイニングながらマウンドを踏んだ。

 しかし、8月に大阪での短時間練習しかできなかった北村はコンディショニングの面でも不安が残り、名門・横浜高で前チームからエースとして登板し、この8月は雪辱に燃えて走り込みや投げ込みを行なって追い込んできた藤平に比べ、実践練習が圧倒的に乏しかった。投手だけでなく、甲子園決勝にスタメン出場した野手も東海大相模にはひとりもいない。試合経験値では横浜高のナインが大きく上回っていた。

 東海大相模は6回裏に1点を返したものの、7回表に北村が3点を奪われ降板。8回にも5失点し、まさかの8回コールド負けとなった。

 横浜高の平田監督は勝因を「藤平のピッチングに尽きます」と話した。

「(藤平は)自分自身を大きく飛躍させたいという気持ちを強く持っている。たとえば、U--18日本代表の試合を見ながら、来年は自分が絶対あそこに選ばれるんだ、と。自分のチームをおざなりにしているところもあるんですが(笑)、何が何でも甲子園、日本代表、プロ......そういう高い目標を持って、向上心を持って、よく練習する。頼もしく思っています」

 MAX149キロの藤平は1失点完投。U−18日本代表の試合から得たインスピレーションを次のように語っていたのが印象的だった。

「高いレベルだと真っ直ぐだけでは打ち取れない。ストレートも変化球も狙ったところに投げられないと、外国人打者は抑えられない。(W杯の決勝で好投した)上野(翔太郎/中京大中京)さんのストレートのコントロールは見習わないと」

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