【高校野球】地方大会秘話。古豪復活を託された2人の野球ド素人 (6ページ目)

  • 菊地高弘●文 text by Kikuchi Takahiro

 小池が作成したオールカラーの小冊子の原価は、一冊あたり約900円。もちろん自腹だ。「このために四徹、五徹は当たり前」と我が身を削りながら、母校野球部のために尽くした。そのモチベーションは母校愛だけでなく、「中山を男にしたい」という思いからだった。

「中山がすごいのは、『オレは教師だけどサラリーマンの経験はないから視野が狭い』と言って、我々のようなド素人も呼んでしまうところ。すごいプロデューサーだと思います。普通はできませんよ」

 もともと定評のあった中山の高い指導力に、皆川や小池という外部の力も加わって、日立一高はメキメキと力をつけた。そして2012年の秋に早くも結果として表れる。秋季茨城県大会でベスト8に食い込んだ日立一は、関東地区の21世紀枠推薦校に選ばれたのだ。結果的に翌春センバツ出場は逃すのだが、皆川も小池も確かな手応えを感じ始めていた。

(後編につづく)

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