センバツ優勝校の敦賀気比を破った花巻東の「徹底力」 (2ページ目)
花巻東の「平沼包囲網」はインコース潰しだけではなかった。
ストライクゾーンからショートバウンドさせて空振りを奪うスライダー、チェンジアップを一切捨てていた。手を出してしまう打者がいると、そのたびにダグアウトの佐々木洋監督が両手を上に向け「ゾーンを高く上げろ!」とサインを送る。そして直後の高めは、ことごとく痛烈な打球となって飛んでいった。
つまり、これまでの平沼を支えていた右打者のインコースに決まるスライダー、ストライクゾーンからショートバウンドになる変化球を封じられてしまったのだ。投手にとって最もキツイことは何か。それは困った時に投げるボールがないことだ。
ストライクゾーンのほぼ半分の狭い空間で勝負せざるを得ない「制約だらけの投球」に追い込まれた平沼は、計7イニングを投げ、18本のヒットを浴び8失点。いくら強力打線がウリの敦賀気比とはいえ、8点はあまりにも重かった。
徹底すること。やると決めたら、全員が最後までやり切る。甲子園での戦いにおいて、徹底して続けることこそ、最善、最強の方法であることを、花巻東が教えてくれた。
花巻東の次の対戦は仙台育英。好投手・佐藤世那(さとう・せな)相手にどんな攻撃を仕掛けてくるのだろうか。
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