スカウトたちが絶賛した「夏の甲子園8人の逸材」 (2ページ目)

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 この夏に株を上げたのが初戦で優勝候補の東海大相模を破った盛岡大付のエース・松本裕樹。右ひじが本調子ではなく、最速150キロの速球は見られなかったが、120キロ台、130キロ台、140キロ台とストレートだけでも球速差をつけて投げ分け、右打者の内角にもチェンジアップやツーシームで攻めることができる。類まれな芸当ができる投手だ。

「花巻東時代の大谷(翔平、現・日本ハム)はすごかったけど勝てる投手ではなかった。でも、松本は勝てる投手。状況や相手を見て、自分との力関係を踏まえてピッチングができる。そういう感性はプロに入って身につくものじゃない。上位12人に入ってくるでしょう」(セ・リーグスカウト)

「自分のペースを崩さない。岩手大会の決勝では審判に注意されてもまったく動揺しなかった。いい意味でぶれていない」(パ・リーグスカウトA氏)

 一方でこんな声もある。

「体全体を使えていない印象があります。下半身に10の力があるとすると7しか使ってない。ただ、その7の力すべてを指先に伝えている。器用さを持った選手ですね」(セ・リーグスカウト)

 高校通算54本塁打の強打も注目されるが、プロの評価は投手で一定。二刀流実現はなさそうだ。

 このふたりに続くのが九州国際大付の捕手・清水優心。185センチ、88キロと捕手ながらサイズが大きいことで人気が集まっているが、スカウトによって大きく評価が分かれる。

「サイズもあるし、体の強さもある。それに肩もいい。化ければ城島(健司、元阪神)になる可能性がある」(パ・リーグスカウトB氏)

「当たれば飛ぶし、スイングスピードは速い。ただ、まだ粗さがある。高校生は体が優先だけど......」(セ・リーグスカウト)

 それでも大型捕手は希少価値。上位指名があるかもしれない。

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