新ヒーロー誕生の予感。甲子園で注目の隠れた逸材たち (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko
  • 大友良行●写真 photo by Ohtomo Yoshiyuki

 おそらくこの3人が、今年の甲子園の"新ビッグ3"として注目を集めるだろう。さらに、神奈川大会決勝で20奪三振をマークした東海大相模の吉田凌(2年/右投右打)、センバツ優勝校の龍谷大平安(京都)の核弾頭・徳本健太朗(3年/外野手/右投左打)らの活躍に期待がかかる。

 そして注目度では彼らには及ばないが、「甲子園でぜひとも見てほしい」逸材たちがいる。

 たとえば、九州国際大付の山本武白志(やまもと・むさし/2年/内野手/右投右打)。ボディサイズは清水よりひと回り大きい187センチ、87キロ。構えた姿から発する威圧感やスイングスピードは特別。そればかりでなく、目を奪われるのがベースランニングだ。これだけの体を持ちながら、大きなストライドでベースターンもスピーディーにこなす。グイグイ加速して、二塁打コースを三塁打にしてしまう脚力は一見の価値あり。ちなみに、父は元ロッテで監督を務めたこともある山本功児氏。

 同じく2年生スラッガーで注目したいのが東海大相模の豊田寛(2年/外野手/右投右打)。神奈川大会では右へ左へ3本の本塁打を放ち、一躍注目を集めた。力みのないスイングからこれだけの飛距離が出るのは、インパクトのタイミングの良さとバットの芯で捉える技術がある証拠。このふたつの要素は、覚えようと思っても簡単に身に付くものではない。おそらくバットが木製に変わっても、同じような結果を残すだろう。まさに"天性"と言い切ってしまっていいほどの才能の持ち主である。

 また、関西(岡山)の二塁手・小郷裕哉(3年/右投左打)はDeNAの石川雄洋のような選手になれると見る。インコースの140キロ前後のボールを引っ張ってライナー性の打球を打てる高校生はなかなかいない。変化球に泳がされても、右半身に壁を作り、ギリギリまで辛抱してバットに乗せる技術を持つ。それだけでなくスピードも一級品。彼が1年の秋、明治神宮大会で初めて見た時の印象は"小鹿"。フィールディングのしなやかさと軽快な身のこなし、さらにスピード感のあるベースランニングは華麗で美しかった。そして今、ふた回りほど体が大きくなったが、スピード感はまったく落ちておらず、立派な"牡鹿"に成長した。

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