この夏の甲子園は「因縁の対決」が例年以上に目白押し!

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka
  • 岡沢克郎●写真 photo by Okazawa Katsuro

 8月8日に開幕する第95回高校野球選手権。29年ぶりの出場を果たした箕島(和歌山)、沖縄水産を2年連続して夏の甲子園準優勝に導いた栽弘義監督(故人)の息子である赤嶺琢監督が率いる自由ヶ丘(福岡)、さらに青森の三沢高のエースとして1969年夏の甲子園で準優勝に輝いた太田幸司氏の息子・幸樹がキャプテンを務める福知山成美(京都)など、記念大会を彩るかのようにノスタルジックな話題が多く、それだけに因縁の対決にも注目が集まっている。

今春のセンバツ決勝で敗れた浦和学院との再戦を待ち望む済美の安樂智大今春のセンバツ決勝で敗れた浦和学院との再戦を待ち望む済美の安樂智大

 今大会、最も話題を呼びそうなのが箕島。1979年に春夏連覇を達成するなど甲子園通算35勝を挙げた尾藤公監督(故人)の息子・強氏が監督就任わずか5カ月で聖地へと戻ってきた。そして、今でも伝説の一戦として語り継がれている79年夏の延長18回の対戦相手だった星稜(石川)も6年ぶりに出場。星稜の林和成監督が「ぜひ、箕島とやりたい」と言えば、尾藤監督は「戦いたいのと、戦いたくないのと半々。だって、強いですから」と謙遜する。箕島は1回戦から、星稜は2回戦からの登場となり、対戦する可能性があるのは3回戦以降からとなるが、果たして34年ぶりの対戦が実現するのか、期待が高まる。

 また星稜といえば、思い出されるのが1992年夏の明徳義塾(高知)戦。当時、星稜の4番だった松井秀喜氏が5打席連続敬遠された、あの試合だ。これ以降、1998年に両校揃って甲子園に出場を果たしたが、その時は対戦していない。21年ぶりの再戦となれば大きな注目を集めるに違いない。

 常連校同士の対戦に目を向けると、横浜(神奈川)と大阪桐蔭も浅からぬ因縁がある。横浜が春夏連覇を狙った2006年夏、初戦で対戦したのが大阪桐蔭だった。横浜は大阪桐蔭の4番・中田翔(現・日本ハム)に特大の一発を打たれるなど6-11で大敗。さらに、2年後の2008年夏も準決勝で対戦し、この時も大阪桐蔭の核弾頭・浅村栄斗(現・西武)らの活躍もあって4-9で敗れている。横浜は「同じ相手に3度は負けない」というプライドがあり、この夏の神奈川大会では昨夏、今春と連敗を喫していた松井裕樹を擁する桐光学園を破った。甲子園でも「三度目の正直」なるかに注目したい。

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