【高校野球】大阪桐蔭の春夏連覇阻止に挑む注目の高校はここだ!

  • 田尻賢誉●文 text by Tajiri Masataka

史上7校目の春夏連覇に挑む、大阪桐蔭のエース・藤浪晋太郎史上7校目の春夏連覇に挑む、大阪桐蔭のエース・藤浪晋太郎 大阪桐蔭(大阪)の春夏連覇を止めるのはどこか――。今大会、最大の注目はこれだ。

 その大阪桐蔭だが、最大の強みは分厚い戦力。最速153キロを誇るエース・藤浪晋太郎ばかり注目が集まるが、背番号10の沢田圭佑も大阪大会で24回2/3を投げ、23奪三振、無四球、2失点と抜群の安定感を誇る。

 野手も、センバツ決勝の光星学院戦で4番を任されて本塁打を放った小池裕也がベンチを外れ、抜群の守備力を誇る来年のドラフト候補、水谷友生也が控えに回るほどの層の厚さ。大阪大会で打率.636をマークした水本弦、同じく.556を記録した森友哉、センバツで花巻東の160キロ右腕・大谷翔平から本塁打を放った田端良基ら、どこからでも一発が打てる強力打線。

 その大阪桐蔭に不安があるとすれば、8試合で10失策の守備と、一挙7点を奪われた大阪大会決勝の履正社戦のように1イニングで大量失点すること。リードされる展開になったときの戦いぶりが見ものだ。

 打倒・大阪桐蔭の有力候補は光星学院(青森)、愛工大名電(愛知)、神村学園(鹿児島)の3校だろう。

 昨夏、今春と2季連続準優勝の光星学院は3度目の正直で日本一を狙う。ともにドラフト候補の田村龍弘、北條史也を擁する強打線が持ち味だが、青森大会ではつながりに欠け、苦戦の連続だった。「周りから打てると言われて勘違いしていた」と仲井宗基監督。「長打でしか点が取れない」と田村も嘆いていたが、「甲子園は夢の舞台。予選では負けたらアカンという気持ちがあったけど、甲子園ではのびのびできる」と巻き返しを誓う。前評判の高い遊学館(石川)、神村学園と同じブロックに入り、城間竜兵、金沢湧紀の投手陣はある程度失点は覚悟しなくてはいけないだけに、舞台が変わって打線の変化に期待したい。

 センバツ8強の愛工大名電は最速147キロを誇る左腕エース・濱田達郎がフォームを崩して不調ながら、鉄壁の守備と粘り強い攻撃で甲子園に戻ってきた。愛知大会は準々決勝の愛産大工戦で1点リードの9回二死満塁からセカンド後方の打球を木村斗史稀がジャンプして捕球。決勝の東邦戦では9回まで2点リードされていたが、ふたつの暴投で追いつき、延長戦で勝利をものにした。濱田頼みだったセンバツとは違い、選手それぞれたくましさが増し、戦い方にも幅が出てきた。その名電ナインの合言葉は「光星学院ともう一度やりたい」だ。昨秋の明治神宮大会、センバツともに敗れているだけに、「光星と対戦するまでは負けられない」と並々ならぬ闘志を燃やしている。

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