【高校野球】ピークは数年後。将来性豊かな実力派が揃う北信越 (2ページ目)

  • 安倍昌彦●文 text by Abe Masahiko

 昨年の春と夏、すでに2度の甲子園を経験している日本文理(新潟)のエース・波多野陽介(3年/176センチ 72キロ/右投右打)は、持ち味のスライダーがさらにキレを増してきた。コンスタントに130キロ後半をマークする真っすぐと、スライダーという絶対的武器を獲得したことで投球に余裕ができ、ますます攻略困難な投手に。さらに、入学時は波多野以上の評価だった田村勇磨(3年/178センチ 72キロ/右投右打)も、この春以降に巻き返しをはかり、強力な二枚看板が完成した。

 長野からは、今春のセンバツに出場した地球環境のふたり。エース・漆戸駿(3年/178センチ 77キロ/右投右打)の真っすぐはスピンが効いていて、スイングしたバットの上を通過する。高校生でこの球筋を持った選手はなかなかおらず、将来のプロでの活躍を予感させる。「4番・センター」としてチームをけん引する大滝勇佑(3年/182センチ 78キロ/右投右打)は俊足、強肩に加え、公式戦で長打を連発する勝負根性が面白い。

 そして福井は、福井工大福井の上野幸三(3年/185センチ 75キロ/左投左打)と菅原秀(3年/176センチ 73キロ/右投右打)の左右本格派が、センバツに出場した敦賀気比を苦しめそう。好調時はタテのスライダーで三振の山を築く上野に、この春メキメキ頭角を現し、主戦格に成長した菅原。どちらも大きな潜在能力を持った「これからの投手」。ぜひ甲子園の大舞台で見てみたい。

 最後に、2年生の逸材をひとりだけ。星稜のショート・北村拓三(2年/180センチ 75キロ/右投右打)は、来年のドラフトの目玉のひとりになれる選手と見ている。今年、亜細亜大に進み、春のリーグ戦からレギュラー格でプレイする兄の洋治とはひと味違うタイプ。俊足、強肩にスマートなプレイスタイルで、将来は巨人・坂本勇人のような中軸を打てる遊撃手になれる資質十分である。

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