【ゴールボール女子】「チーム力」で勝ち取った初めての金メダル

  • 星野恭子●取材・文 text by Hoshino Kyoko
  • 越智貴雄●写真 photo by Ochi Takao

表彰式では笑顔で声援に答えた。左から小宮正江、浦田理恵、中嶋茜、欠端瑛子、若杉遥、安達阿記子表彰式では笑顔で声援に答えた。左から小宮正江、浦田理恵、中嶋茜、欠端瑛子、若杉遥、安達阿記子 ロンドン・パラリンピック、ゴールボール女子の決勝で、中国を1-0で破り、初の金メダルに輝いた日本。勝利の要因をたずねると、選手もコーチ陣も誰もが「チーム力」と口にした。

 ゴールボールは、もともと視覚障害者のリハビリ用に考案されたスポーツで、アイシェード(目隠し)をした3人のプレイヤーを1チームとした対戦型の競技。鈴の入ったボールを転がすように投球し、相手のゴールに入ると得点になる。投げては守りを繰り返し、得点を目指す。ゴールの横幅は9mあり、防御のときは3人のプレイヤーが体を横に投げ出すようにする。

 日本の武器は守備力だ。鈴の音を頼りに相手ボールの出所と方向を察知し、すばやく移動。転がってくるボールの前に3人で一文字の壁をつくってボールをとらえる。「守って勝つ」が日本のスタイルだ。

 一方、決勝戦の相手、中国は攻撃型のチーム。特にセンターを務める選手はボールをキャッチすると素早い切り返しから、男性並みの強く重いボールを投げてくる。できるだけ彼女に投球機会を与えないよう、両ウィングを狙って投球することが、この日、日本がとった戦略だった。

 12分ハーフの試合は序盤で動く。前半4分、安達阿記子の投げたボールを相手センターが中途半端にはじいた。ウィングがカバーに入ったがつかみきれず、そのままコロコロとゴールに吸い込まれ、日本が貴重な先制点を挙げた。

「投球の狙い目はセンターとウィングの間。センターが触れるギリギリのコースに狙い通りに投げられた」と安達は振り返る。

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