手前を替えろ、スワーヴリチャード!それなら有馬記念で古馬に勝てる (2ページ目)
クラシック第1弾の皐月賞。2番人気に推されたスワーヴリチャードは、直線手前まで抜群の手応えで進むも、伸び切れずに6着と敗れた。馬券圏内はおろか、掲示板さえ外してしまった。
戦前から、陣営は右回りのレースであることを不安視していた。デビュー戦と2戦目こそ、右回りの阪神競馬場のレースで2着、1着という結果を残しているが、そこではまだ相手のレベルが低かった。実力差のおかげで上位入線を果たしているが、明らかにその走りはぎこちなかった。そのため、陣営は3戦目以降、クラシックの皐月賞を除いて、左回りのレースを選択している。
有馬記念は、皐月賞以来の右回りとなる。しかも、歴戦の古馬が相手。とすれば、春の苦い敗戦を受けて、今回も不安が囁かれるのは仕方がない。
スワーヴリチャードはレース間の短期放牧において、ノーザンファームしがらき(滋賀県)に身を寄せている。そこで同馬を担当している鈴木康介氏は、同馬が右回りを苦手とする理由をこう説明する。
「スワーヴリチャードは、右側のトモ(腰から後肢の付け根)が弱いんですよね。競走馬は走る中で手前(※)を替えるのですが、右回りのコースではコーナーを右手前で走り、直線は左手前に切り替えるのが普通です。しかしこの馬は、右トモの弱さから左手前で走るのが苦手。その結果、右回りのコースだと直線に入っても手前を替えず、右手前のまま走ってしまうんです」
※走る際、左右の前肢で前に出す側の肢のこと。右前肢を出して走ることを「右手前」、その逆を「左手前」という。
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