ブレはなし。「ポポビッチ・サッカー」を貫くFC東京に躍進の予感

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Getty Images

 第8節まで終了した今季のJ1で現在、最も注目を集めているクラブは大宮で間違いあるまい。昨季途中からの連続無敗記録を19試合まで伸ばし、J1記録を更新中の大宮は、6勝2分けの勝ち点20で首位を走る。今季だけの成績を見ても、いまだ無敗なのは大宮だけだ。

 さて、大宮が「無敗」を続ける一方で、今季「無分け」というちょっと変わった記録を続けているのが、FC東京である。ここまで4勝4敗とただのひとつも引き分けがなく、いまだ無分けが続いている。

ポポビッチ監督が就任して2年目。パスをつなぐスタイルを貫いているFC東京ポポビッチ監督が就任して2年目。パスをつなぐスタイルを貫いているFC東京 今季のFC東京は開幕から2連勝と好スタートを切ったものの、その後、なかなか勝てずに4連敗。最近の2連勝でようやく星を五分に戻したところだが、結果だけを見ると浮き沈みが激しく、どうにも落ち着かない印象を受ける。出来不出来の波が大きいのか。あるいは、目指すサッカーの方向性が定まっていないのか。

 しかし、今季のFC東京に関しては、そのどちらも正しくない。それどころか、彼らは目指すポゼッションサッカーを常に実践しているし、しかも、その出来も悪くない。連敗した4試合にしても、概(おおむ)ね優勢に試合を進めていたのはFC東京のほうだったのだ。

 星を五分に戻した第8節の川崎戦後、勝てなかった時期と何が変わったのかを問われたFC東京のランコ・ポポビッチ監督は、こんなことを話している。

「今までと違うのは結果だけ。戦う姿勢やメンタル面も含め、劇的に何かが変わったわけではない」

 続けて指揮官は「決定機のシュートがバーやポストにはばまれれば勝てない。それが結果に影響していた」と、4連敗中は多少の不運があったことを一応は嘆いて見せたが、むしろ勝てなくともブレることなく、自分たちの目指すサッカーを貫いてきたことを強調した。

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