【新車のツボ89】VWゴルフR試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 フォルクスワーゲン(VW)の7代目ゴルフを、ここで取り上げるのは今回で3度目である。1度目は1.2リッターターボを積むフツーのゴルフ(第64回)で、2度目はハナのアブラをちょっと塗ったゴルフGTI(第73回)だった。そして、今回のゴルフRは、今もっとも高価で、かつ最速のゴルフである。

 ゴルフRのエンジンはGTIと基本的に同じ2.0リッターターボ。ターボの原理は、みずからの排気でポンプを回してエンジン内に空気を無理やり詰め込む......というもので「エンジンが吸い込む空気量が増える→(計算上の)吸気量=排気量が大きくなる→よりエンジンパワーが出る」という仕組みである。ターボを利かせて空気を大量に送り込むと、基本的にはパワーが上がる。つまり、ゴルフRはGTIよりターボをガンガン利かせたタイプである。

 ただ、最近のターボは不要なときに不要なパワーを出さないように緻密に制御されるので、カタログ燃費も14km/L台。ひと昔前のスーパーカーみたいなスペックのクルマが、ひと昔前のコンパクトカーなみの燃費......とは、驚き以外のナニモノでもない。

 いずれにしても、ゴルフRのエンジンはフツーのゴルフの3倍近い(!)パワーを持つわけで、そりゃもう、とんでもなく速い。

 さらに(!!)、GTIまではフツーどおりの前輪駆動だったが、ゴルフRは四輪駆動。ドバドバとこぼれんばかりのエンジントルクを、4本のタイヤにシレッと分散して、勝手にうまく路面に伝えるので、運転にはフツーのゴルフ以上にコツいらずである。

 しかも(!!!)、電子制御で走行中にリアルタイムで硬さを変えていく可変ダンパーも標準装備。その他、エンジンやオートマの反応も含めて、数種類の走りのキャラをボタンひとつで変えられる。最硬派のレースモードにすると、スーパーカーばりの速さでもまったくネを上げなくなるが、柔らかいコンフォートモードにすると、乗り心地はまるでトヨタ・クラウンばりにフンワリ快適になる。

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