【新車のツボ39】スズキ・スイフトスポーツ 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 ワタシは仕事がら、ひとりで平日の朝に山道を走ることはよくある。たいがいはロケや試乗会の取材のためだ。ワタシもこの仕事に就いて20年以上、山道の走り方もそれなりに知っているつもりだし、そのときに駆っているのは最新スポーツカー(取材対象ね)だったりすることもする。しかし、そうやって調子こいて走っているときにかぎって、後ろから来たクルマに追いかけ回されて、たまらず道を譲ってしまうこともなくはない。

 これはワタシの勝手な経験則なのだが、そういう場合の"ワタシを追い回すクルマ"は、スイフトスポーツである比率がけっこう高く、運転しているのはたいがいオジサンである。

 そのオジサンはおそらく地元民で、山道は彼の毎日の通勤ルートなのだろう。その証拠に、そういうオジサンはすべてのコーナーの、それこそ落ちている石ころの位置まで知り尽くしたような走りをするからだ。そして、自宅には家族共用のミニバンやセダンがあったりして、スイフトスポーツはお父さんの仕事専用車なのではないか......って、これはワタシの勝手な妄想だけど。

 スイフトスポーツは現在3世代目になる。初代は約120万円、先代の2代目は160万円強、そして最新の3代目は168万円(すべてMTの場合)。価格は少しずつ上がっているが、"コミコミ200万円程度まで"というセカンドカーの相場観はギリギリ維持している。

 スイフトスポーツは知ってのとおり、スズキのコンパクトカーをベースにしたスポーティカーだ。こういう小型ハッチバックの高性能モデルはかつて"ホットハッチ"と呼ばれて、軽自動車も含めて1メーカーにつき数車種はラインナップされていたものだが、今や軽自動車では絶滅してしまって、コンパクトカーでも数種がかろうじて残っているにすぎない。しかも、今の日本では完全に不人気ジャンルなので、"ひとクラス大きなエンジンを積んで、それっぽいカッコをさせただけ"という安易な成り立ちのクルマが大半だ。

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