【新車のツボ37】BMW320i 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 なんだかんだいっても「フンパツすれば買えそうなちょっと高級なクルマ」は世界的にドイツ御三家......すなわち、ベンツ、BMW、そしてアウディが牛耳っている。

 そんなドイツ御三家のなかでも、売れ筋は一般的に"Dセグメント"と呼ばれているクラス。全長が4.5~4.7mくらいのセダンで、価格は日本だと400~600万円。世界のどこでも持てあまさない小さめサイズで、基本的に自分で買って自分で運転するクラスである(これより大きなセダンだと、国によっては運転手つきの乗り物となる)。以前も書いたけれど、このクラスはベンツだとCクラス、アウディだとA4、そしてBMWの場合は、車名の頭に"3"がつくシリーズだ。

 こういうコンパクト高級セダンのクラスはもともと、1970年代にBMW3シリーズが確立したジャンルである。3シリーズが大ヒットしたものだから、それまで大きなセダンしか作らなかったベンツが80年代初頭に参入して、90年代になると今度はアウディ(=VWグループ)が"ベンツビーエムに追いつけ追い越せ"とA4という商品を出した。んで、現在は三つどもえ状態。その後は「御三家にあやかろう」と、レクサスにインフィニティ(=日産)、ボルボにアルファロメオ、キャデラック......などが次々と刺客を送り込んでいるものの、世界的に真の意味で御三家に並んだ(機能的には高かったり、地域限定での善戦はあっても)という話はきかない。

 戦前から高級車として確固たる地位にあったベンツに対して、BMWは戦後の新興勢力だけに、良くも悪くも老練でエラそうなベンツに対して、BMWは常に"若い、新しい、スポーティ"で売ってきた。そんなBMWの代表選手が3シリーズなのだが、最近のこのクラスはあまりに熾烈なガチンコ勝負だからか、さすがの元祖3シリーズも、ときにはベンツ的な落ち着きを狙ってみたり、次は反省してスポーティ路線に戻るも、戻りすぎてヒョコヒョコ落ち着きのないクルマになったり......とブレがあったのは否定できない。

 というわけで、今年春に日本上陸した新型3シリーズはフルチェンジしたばかりの完全な新型で、現時点ではクラス最新鋭なのだが、これに乗って「ついにキターッ!」って叫びたくなったワタシである。

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