【新車のツボ36】スバル・レガシィ 試乗レポート

  • 佐野弘宗+Sano Hiromune+●取材・文・写真 text&photo by

 世の中には"スバリスト"と呼ばれる人たちがいる。その言葉の意味は「スバル以外では満たされない依存体質」みたいな、ちょっと病的な(?)ニュアンスで使われることが多い。ワタシ個人はスバリストではないが、クルマ趣味の世界ではそういう偏愛主義はステキなことであり、それこそ王道だと思う。

 そんなスバリストのかたがたが愛するのは、主に「4WDで、水平対向エンジンで、そのエンジンにはできればターボがついている」という昔ながらの内容を持つスバルだ。そんな伝統を受け継ぐ代表格がレガシィだが、現行型にかぎっては、デビュー当初からスバリストの間で賛否両論がうずまいている。

 もっとも、現行レガシィが失敗作というわけではない。今は巨大市場のアメリカでヒット中で、富士重工の現在の経営に大きく貢献している。また、国内でも平均して国内販売ランキング30位以内を手堅くキープしている。たしかに先代よりは少し落ち込んでいるが、「コンパクトカーとハイブリッド」が全盛のデフレ時代にあって、小さくなくハイブリッドでなく、それほど安くもないレガシィが、この成績なら悪くないといっていい。

 それでも、現行レガシィが出たときに、生粋(きっすい)のスバリストが諸手で歓迎するムードでなかった理由......つまり現行レガシィとスバリストの"ツボ"が微妙にズレたポイントは、いくつかある。

 ズレのひとつはボディサイズと排気量だろう。現行レガシィは5代目になるが、3代目まではライバルがどんどん大型化するなかギリギリまで日本独特の5ナンバーサイズを守り、はじめて3ナンバーになった先代でもライバルより明らかに小さかった。ところがこの5代目になって全長で約10cm、全幅で7~8cmも拡大した。また排気量も従来は2.0Lが主力だったのに、現行型の発売時には2.0Lがなくなり、主力が2.5Lに置き換えられた。日本ではこの0.5Lのちがいで税金も変わる。

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