世界陸上で垣間見たイシンバエワ&ボルト両選手の素顔

 8月にモスクワで行なわれた世界陸上の取材で、私も現地に行ってきました。日程の都合で初日の女子マラソンや最終日は取材ができなかったのですが、ほとんどの競技を生で観戦してきました。

 世界トップのアスリートたちの戦いの中でも、いちばん印象的だった競技が、女子棒高跳びです。地元ロシアのエレーナ・イシンバエワ選手が感動的な優勝を果たしました。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita イシンバエワ選手が世界記録保持者になったのは2003年のこと。その年の世界陸上パリでは3位でしたが、04年のアテネ五輪を4m91の世界新で制して以来、世界記録を更新していきます。そして、05年ヘルシンキ、07年テグの世界陸上を連覇すると、08年北京五輪も5m05の世界記録で優勝しました。

 その後、09年8月に5m06とさらに世界記録を塗り替えたものの、その直前の世界陸上ベルリンではなんと予選落ち。11年の世界陸上テグでは6位で、昨年のロンドン五輪も3位に終わり、今回の世界陸上モスクワ後に引退かと噂されていました。

 その報道の影響もあったのか、最初の4m65は体が流れて失敗。2回目でクリアしたものの、調子はあまり良くないように見えました。

 一方、もうひとりの優勝候補、アメリカのジェニファー・サー選手は一発で4m65をクリア。「今回もイシンバエワ選手は世界陸上で負けてしまうのかな......」と失礼ながら心配してしまいました。しかし、イシンバエワ選手はそこから4m75を1回目で、4m82を2回目でクリアして立て直すと、ぐっと集中力が増してきたのです。

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