切磋琢磨で目指す夢の9秒台。陸上短距離・桐生&山縣の挑戦

 6月30日にバーミンガム(イギリス)で開催された世界最高峰の陸上大会「ダイヤモンドリーグ」に、17歳の高校生、桐生祥秀選手が出場しました。初めての世界挑戦は予選敗退という厳しい結果に終わりましたが、9秒台の記録を持つトップ選手と走った今回の経験は、桐生選手にとって本当に貴重だったと思います。

 日本の陸上・男子短距離は今、その桐生選手のほか、若手の台頭でヒートアップしてきています。その熱気を堪能できたのが、6月に東京の味の素スタジアムで行なわれた日本選手権の男子100m決勝でした。

photo by Yamamoto Raitaphoto by Yamamoto Raita 注目はもちろん、桐生選手と、昨年のロンドン五輪に出場した山縣亮太選手の対決。スタート直前には、9秒台への期待と緊張感でスタジアムが号砲に集中し静まり返るほど。たった10秒ほどの決勝で勝ったのは山縣選手(10秒11)。2位の桐生選手の走りも堂々としていてすばらしかったです。

 私がレースでもっとも釘づけになったのは優勝した山縣選手の走りでした。昨年秋に太股肉離れという大きなケガを経験していましたが、そこから状態を戻し、10秒11で優勝したことは、彼にとって自信になったのではないかと思います。

 山縣選手自身、レース後「あのケガによって人として成長できたと思う」と話していましたが、さらに印象深かったのは桐生選手について聞かれた時のコメントでした。

「彼は自分にないものを持っていると思うし、いいライバル。一緒に強くなっていきたい仲間だから、自分の経験もいろいろ教えてあげたい」

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