老獪さ全開。「つまらないサッカー」のイタリアがユーロをおもしろくする

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki photo by Hara Etsuo

 ユーロ2016グループリーグ第2戦、イタリア-スウェーデンは1-0でイタリアが勝利した。

 イタリアは徹底的に守備を固めた末、試合終了間際に1点を奪って、まんまと勝ち点3をかすめ取った。

 イタリアらしい――。そんな勝ち方だった。

 この試合の結果に、初戦の結果が大きく影響していたのは間違いない。

 初戦でベルギーを2-0で下したイタリアはこの試合、引き分けで勝ち点1を積み上げれば十分。何かの拍子に勝ち点3が取れれば言うことなしだった。

 だが、スウェーデンは違う。初戦でアイルランドと1-1で引き分け、この試合は勝つ必要があった。最悪、勝ち点1の確保を視野に入れつつも、勝ち点3が欲しかった。

 だからこそ、互いに決め手を欠く試合展開のなか、最後まで攻撃に意識を傾けておかなければならなかった。

 そこにスキは生まれた。

 どうしても得点が欲しいという意識が強くなると、自然と守備の意識が薄くなる。

 通常ならスペースを埋めるべきところで、あるいは、カバーできるポジションを取るべきところで、あと一歩を動かずに次なる攻撃に備えようとする。

 早く攻めたい。早く誰かボールを奪ってくれ。そんな他人任せの意識が強くなり、知らず知らずのうちに守備をサボってしまうのだ。

 老獪なイタリアは、そんなスウェーデンの穴を見逃さなかった。

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