スタメン復帰! インテルが突然、長友佑都を必要とした理由 (3ページ目)

  • マッテオ・ブレーガ●文 text by Matteo Brega  利根川晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

 6月に契約が切れる選手を1月に売るのはあまりいい手ではない。相手チームに足元を見られ、長友の場合だったらその移籍金は200万ユーロ(約2億6000万円)がいいところだろう。これは決して彼に見合った金額ではない。それならば契約を延長してもう少しミラノに彼を留め、この夏にでも放出すれば400万ユーロから500万ユーロは下らないだろう。それに長友を手元に置いておくことができれば、この冬に別のSBを買う必要もなく、好調の彼をそのままプレーさせ続けるというアドバンテージもある。

 今シーズンはインテルにとってスクデットを勝ち取る最大のチャンスだ。特に直接のライバルであるローマを破ったことで、今後も上位に留まる可能性が高くなった。これまで4連覇を果たしてきたユベントスは、すでにアンタッチャブルな存在ではなくなっている。ナポリはまだ完璧にチームとして仕上がっていないし、ミランもスタートダッシュでつまづいた。今、インテルの上にいるのはフィオレンティーナだけだが、彼らにも限界は見える。

 つまり、今シーズンのセリエAはこれまでのユベントス一極体制とは違い、どこのチームにも優勝の可能性があるということだ。きっと最後の最後までスクデットの行方はわからないだろう。その中でもインテルは欧州カップ戦がないだけ、よりリーグ戦に集中できる。久々にスクデットを手に入れるには、またとないチャンスなのだ。

 だからこそ長友はインテルに残りたいだろうし、そのために最大の努力をしている。そしてそのプロ精神と真摯に仕事に向かう姿勢こそが、今度は優勝を狙うマンチーニとインテルにとって大事なものになりつつあるのだ。

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