ユーロ初出場決めたアイスランド。歓喜の現地直送レポート

  • 栗原正夫●文 text by Kurihara Masao photo by Reuters/AFLO

 両ゴール裏にスタンドはなく、観客席はメインとバックだけ。地元紙『モルグンブラディズ』によれば、観衆は9800人。ユーロという大舞台行きをかけた会場にしては、想像以上に牧歌的な雰囲気が漂っていた。

 気温はまだ9月頭だというのに約10℃。加えて海からそそぐ冷たい風に雨が激しく舞い、ウールのセーターやダウンが必要なほどだった。それでも、大西洋の最北部に浮かぶ小国アイスランドの首都レイキャビクのラウガルダルスフェラー国立競技場は、キックオフ前から十分な熱気で満ちていた。

 人口わずか32万人。ざっくり言えば、筆者が住んでいる中野区と同規模のアイスランドは6日、ホームでカザフスタンと引き分け(0-0)、2試合を残してユーロ2016本大会出場を決めた。

ユーロ初出場を決めたアイスランド代表ユーロ初出場を決めたアイスランド代表「予選が始まる前には自分たちが本大会に行けるなんて想像もしていなかった」

 試合後、多くの選手がそう話した通り、アイスランドは周囲の予想を覆す快進撃を続け、W杯を含めた初のメジャートーナメント行きの切符を手にしたのである。

 カザフスタン戦は動きに硬さが見られ、序盤は予選でここまで勝ちのない相手にペースを握られたものの、32分にエースのギルフィ・シグルドソンの惜しいシュートをきっかけに流れを取り戻した。

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