コパ初優勝のチリ。神経戦を制した同国史上最強チーム

  • 三村高之●文 text&photo by Mimura Takayuki

 チリ対アルゼンチンのコパ・アメリカ決勝戦は、延長戦に突入するも両者ゴールを奪えず、PK戦の末、4-1でチリが初優勝を飾った。

コパ・アメリカで初優勝を飾ったチリコパ・アメリカで初優勝を飾ったチリ まさに神経戦といえる試合だった。「別の大会とはいえ、11ヵ月前にW杯の決勝を戦ったことはひとつのメリットだ」と、アルゼンチン有利の思いを語っていたマルティーノ監督。だが、実際にはかなりの消極策を用いた。これまで、「FWか」と思われるほど高い位置でプレイしていた両SBを上がらせず、リスクを抑えることを選んだ。

 そのかわりに下がり目だったメッシ(バルセロナ)をアグエロ(マンチェスター・シティ)と共にトップへ据えた。「チリは今、史上最高の時代にある」と称賛するライバルに、相当な警戒心を持っていることの表れだ。選手も神経質になっており、途中出場したラベッシ(パリ・サンジェルマン)の脚がつったのも、極度の緊張からだった。

 神経質なのは地元チリのサンパオリ監督も同じだった。テレビ局には迷惑なことだが、彼はいつもコーチングエリアでの指示を聞かれないよう、近くに置かれている集音マイクの向きを変える。ところがこの日は向きを変えるだけでなく、5メートル以上もマイクを遠ざけた。

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