データと管理。ハリルホジッチとレアル新監督の共通点

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Getty Images

「フィジカル面は今後、20%は向上できる」

 6月11日のイラク戦後の記者会見だった。ヴァヒド・ハリルホジッチ監督は数字を口にすることで到達点を示した。曖昧な現象を数値化することで、単純化しようという試みだろうか。

レアル・マドリード監督に就任したラファエル・ベニテス(左)レアル・マドリード監督に就任したラファエル・ベニテス(左) ハリルホジッチは、徹底的なデータ合理主義者である。

 すでに報道されているように、走行距離やスプリント回数や体脂肪率など数字データに恃(たの)むところが強く、方法論の裏付けとなる実証を好む。代表メンバー選考のため、自分やスタッフが何試合ビデオで見たか、その本数に胸を張る。手にした情報を元に確信が芽生えると、手持ちのメソッドを選手たちに叩き込む。そして厳格な規律でもって、可能な限り管理したがる。トレーニング時間はもちろん、合宿中の食事は同じ時間に一斉にとり、外出も散歩も許可制だという。

 そうした統制によって、正しい答えが出る、と信じているのだ。

 ハリルホジッチは様々なチームを率い、その手腕の高さを見せてきた。9ヵ国のクラブ、代表を率いたが、瞬(またた)く間にチームを掌握。フランスのリールでは2年目で2部リーグ優勝、3年目で1部リーグ最優秀監督を受賞、4年目で国内カップ優勝を成し遂げている。コートジボアール代表監督時代のように結果が伴わず解任されても、攻撃的な理論は支持を受け、アルジェリア代表では王者ドイツと真っ向からやり合うチームを作り上げた。

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