今季リーガ台風の目、バレンシアはこうして復活した

  • 山本孔一●文 text by Yamamoto Koichi
  • photo by Mutsu Kawamori/MUTSUFOTOGAFIA

 昨シーズン、アトレティコ・マドリードが優勝を果たし、レアル・マドリード、バルセロナの2強時代に風穴が開いたリーガ・エスパニョーラ。優勝争いをするチームが多いことはリーグを盛り上げるし、下克上の戦いが見られた群雄割拠が売りであった以前のリーガの姿を取り戻すことにもつながる。そして今シーズン、ピーター・リムがオーナーとなり、新しく生まれ変わったバレンシアに、アトレティコに続く古豪復活が期待されている。

 ホームのメスタージャで行なわれたリーガ第13節(11月30日)。93分のブスケッツの劇的なゴールでバルセロナの前に涙を呑んだバレンシア。勝負の世界に"たられば"はない。だが、バルセロナのGKクラウディオ・ブラボの好守がなければ勝っていてもおかしくない試合をバレンシアが見せたことも確かだ。

売り出し中のポルトガル代表MF、アンドレ・ゴメス売り出し中のポルトガル代表MF、アンドレ・ゴメス 2000年代初頭には2年連続でチャンピオンズリーグ決勝進出を果たしたほか、リーグタイトルを獲得するなど、スペインだけでなく欧州でもその力を示してきたバレンシア。だがここ数シーズンは、ご多分に漏れず世界的な経済不況の煽りを受けてクラブ運営が行き詰まり、クラブ消滅の危機が囁かれるまで追いつめられた。ビジャ、シルバ、イスコ、マタ、ジョルディ・アルバ......といった主力選手放出でやりくりしなければならないほど、ピッチ外の問題がチームに大きく陰を落とした。

 また、バレンシアは歴史的にも監督よりも選手の力が大きくなる傾向がある。2007~2008シーズン、ロナルト・クーマン(現サウサンプトン監督)が監督に就任した時の、MFアルベルダを筆頭とするロッカールームと監督の確執は明らかだった。

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