ドルトムント連敗ストップも、香川真司が語った深いジレンマ

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko
  • photo by Getty Images

 ドルトムントがボルシアMGを1-0で破り、リーグ戦では8戦ぶりの勝利を挙げた。

 前回の勝利は9月13日のフライブルク戦、つまり香川真司の復帰初戦だったのだから、どれだけ長い間、勝てていなかったか分かるというもの。勝利の瞬間、ベンチのクロップ監督はスタッフと抱き合い、ベンチの選手よりも速くピッチに走って入り、疲れきった選手たちを称えた。そして審判と挨拶をかわし、ボルシアMGの選手にもハグしていく。ゴール裏への挨拶では、選手と並んで多いに盛り上げつつ先に引き上げ、メインスタンドには帽子をとってご挨拶。クロップのファンを楽しませながら感謝を表現する巧みさは、なかなかできるものではない。現在のドルトムントの魅力の一つが彼そのものにあることは認めざるを得ない。

ボルシアMG戦に先発、後半28分までプレイした香川真司ボルシアMG戦に先発、後半28分までプレイした香川真司 試合後の香川は、さすがに安堵した表情を見せていた。そして、クロップの影響があるのかないのか、マンチェスター・ユナイテッド時代にはあまり聞かれなかった言葉を口にした。

「すごく大きい勝利ですね。とりあえずサポーターにすごく喜んでもらえて......。ああいう試合後の反応をみると、やはりすごく感謝したいですね」

 勝利を待ち望み、耐えてきたサポーターたちにまず感謝をして、続けた。

「(苦しかった?)そうですね、やはり。雰囲気は悪くなかったですけど、勝てないというのはやはり苦しかったです」

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