本田圭佑が決めたのはただのゴールではなかった

  • ステーファノ・メレガリ(『Forza Milan!』編集長)●文 text by Stefano Melegari
  • 利根川 晶子●翻訳 translation by Tonegawa Akiko

オフィシャル誌編集長のミラン便り2014~2015(2)

「良い一日は朝からわかる」という諺(ことわざ)がある。その日が良い日になるか悪い日になるかは、朝一番に起こった出来事でわかる、つまり最初が肝心ということだ。新シーズンの開幕戦、ミランはサン・シーロでラツィオ相手に勝利した。この諺が本当だとするとミラニスタは大いに期待を持っていいはずだ。

 夏のプレシーズンマッチではなかなかいい結果が出せず、勝利よりも敗戦の多いミランだったが、この日サン・シーロに現れたチームは堂々と自信に満ちていた。監督がピッポ・インザーギに変わり、ミランは名門ミランらしいアイデンティティを再び取り戻したように見える。

開幕戦での先制ゴールを喜ぶ本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS)開幕戦での先制ゴールを喜ぶ本田圭佑(BUZZI/FOOTBALL PRESS) とにかくこの試合ではレベルの高いプレイを随所で見ることができた。開幕までメディアは、ミランを"他チームより見劣りする実力の乏しいチーム"と酷評していたが、3-1でラツィオを下した今は、こうした評価も考え直さねばならないだろう。もちろんミランが今シーズンどんなストーリーを綴っていくのかは、まだもう少し時間が経たなければわからない。しかしすべての予兆は良いシーズンになることを示している。

 今シーズンのミランは昨シーズンの壊滅的だったチームとはかなり異なっている。もちろん新加入の選手が多いこともあるが、それだけではない。この日サン・シーロのサポーターたちは数ヵ月前とは全く違う"もの"を見た。それが本田圭佑だ。本田はこの1週間前にユベントス、サッスォーロとミランの3チームで戦ったTIMカップの最優秀選手に選ばれたが、ここでもそれがまぐれではなかったことを証明してみせた。

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